
昨日は、私にとって一生忘れることの出来ない日となりました。東京に於きまして、二人の和食界の巨匠による、ディナーショーが行われました。前菜から始まり、デザートまでを交互に巨匠が出していくという、一度に二人の巨匠の味を楽しめるというものでした。
そして、写真の二人の巨匠は和食に関わる方ならすぐに分かる二人の巨匠、日本料理界の重鎮ですが、実は両巨匠とも私の師匠でして、私がこの世界に入り初めて「親方」と呼ばせていただいた方です。
「イベントをやるから、来れるようなら・・・」と、道場先生に声を掛けて頂き、「いなみ」のお客様に迷惑が掛かることもわかっていたのですが、おそらくこの先、この二人がこのようなイベントをやることは無いと思い、行かせて頂きました。
会場に着くと同時くらいに、お会いすることが出来ました。お盆や暮れのご挨拶の時や、夏の調理士会のイベントなどではお会いしていますが、白衣を着た先生を見るのは、何年ぶりでしょうか。嬉しくなりました。
他の方たちは「立ち入り禁止」の控え室まで、わざわざ連れて行って頂きまして、しかももうすぐイベントが始まるというのに、色々私の店のことや料理のことを聞いて下さいました。話している時の表情や鋭い目などを見ていると、叱られて悔しかった日々や、褒められて喜んでいた日々などを思い出し、目頭が熱くなります。
「料理を通して、人を感動させる」。料理は「目で見て楽しみ、食べて美味しく、そしてお会計で満足」、「一つや二つくらい出来たからって、出来たと思うな!1000も2000も同じように出来る様になったら技術が身に着いたと思いなさい。」今でも心に残っている言葉です。
私が19歳に成るか成らないかの頃、「誰か若い人材が欲しい」というやり取りの中で、先生は「うちに将来独立をしたいと言ってる若いのがいるから」と言って私が呼ばれ、「いずれ自分で店をやりたいなら、先生の様なオーナーシェフの店の方が勉強になる。」と言って”大安”の日を選んで頂き、「銀座ろくさん亭」に一緒に連れて行ってくれました。その時「銀座ろくさん亭」にいた、後に私の先輩になる方たちに向かって、「稲見をよろしくお願いします。」と言って頭を下げてくれた事が、頑張れた一番の理由です。もちろん先輩たちにも良くしていただきました。私はあの時頭を下げてくれた先生に、恥をかかせる様な事だけはしてはいけないという思いで、大抵の厳しいことは乗り越えることが出来ました。
今までこんなお願いをしたことはなかったのですが、初めて一緒に写真を撮らせていただきました。

そして、先生と話していると、控え室に入ってきたのは「道場六三郎」先生です。この二人の巨匠に挟まれたのは、おそらく初めての事でして、見事なまでの直立不動。金縛りにあったような感じでした。道場先生に「そんな所に立ってないで、ここに座りな」と言われました。座ると私の左手を取り、「あんまり練習してないね!」と言われました。ゴルフのことでした。緊張をほぐして頂いた後、ありがたいことに最近の料理界の話であったり、これからの料理界の話などを語って頂きました。そしてやはり私の店のことや、お客様のことなども聞いてくれました。道場先生の故郷「石川県」の話から「菊姫」の話などもして頂きました。やはりこんなお願いをしたこと無かったのですが、一緒に写真を撮って頂きました。
お二人の巨匠から出た共通の私へのお言葉に「太りすぎ」というのがありました。確かにお二人の下で働かせて頂いていた時から約25キロ太りました。「痩せます。」と約束してしまいました。

いよいよ、イベントが始まる時間になり会場へ入っていくとその数およそ300人位はいたでしょうか。料理界の方たちもたくさんいらっしゃいます。イタリアン、フレンチ、中華と巨匠と呼ばれる方たちがたくさん来ていました。今回この二人の「和」の巨匠が競演するという、いままでに無いイベントへの期待の高まりが感じられます。
イベントの時に出されたお料理はまた後日、写真と一緒にアップしたいと思います。
新しい料理から、伝統的な料理まで。本当に勉強になりました。そして何と言っても、それぞれの先生の料理を食べた会場のお客様達が、本当に楽しそうだったのが印象に残りました。そして改めてお二人の下で、修行させていただいた事に感謝する事が出来ました。
この二人の巨匠に教わった料理人としての精神、そして料理を、今日私をこのイベントに参加させてくれた「いなみ」のスタッフにしっかりと伝えて行く事が、「いなみ」に来て頂いているお客様に喜んで頂ける事だと思っております。